更紗という言葉が最初に気になったのは、随分前にバリ島に行った時にバティック(ジャワ更紗)を目にした時。その後日本に戻りすっかり忘れてしまい、でも更紗という言葉なのか生地の模様なのか、どこか気になったままになっていました。フランスの更紗というタイトルに、思わず手に取った”フランスの更紗手帖”という本。
アンティークの生地の柄や色合いをぱらぱらと見るだけでも楽めるけど、歴史がとても興味深かった。ペルシャで綿花栽培がはじまり、その後インドでも作られるようになり、その作られたコットンの生地にブロックプリントが施されたものがインド更紗の始まり。織りではなく天然染料でプリントされてそれが洗濯しても落ちない技術に、魅了されたフランス人たちがインド更紗の虜に。それまでシルク、リネン、ウールが主だったフランス人はコットンの快適さに惹かれたのだそう。(インドに住んでいた頃、インド更紗の洋服が風通しがよく快適で既製品を買ったり、仕立ててもらった思い出も。)
その後インド更紗がフランスで発展を遂げ、版がインドでは木版なのに対しフランスでは金属のロール状になって連続で模様が印刷出来るようになったようです。
技術だけでなく柄もフランスでヨーロッパらしいデザインになり、日本でも大人気のトワル・ド・ジュイやソレイヤードもインド更紗が元で生まれたもの。Sajouで見た、トワル・ド・ジュイのLes coquecigrues(コクシグル)の柄は、もう可愛い過ぎて。その時は、インド更紗と結びつきがあるなんて想像もしませんでしたが、ソレイヤードの柄のいくつかは、少しインドのブロックプリントを感じるのも納得出来ました。
インド更紗から、フランスでこんなにも素敵な柄の生地が生まれたことも手芸好きにはとても嬉しく、またいまだインドで木版でブロックプリントが受け継がれ作り続けられていることにも改めて感慨深く感じました。
クラフト好き、手芸好きにお勧めの一冊です。
フランス旅行で少しパリから足を延ばしてトワル・ド・ジュイ美術館、ミュルーズ染織美術館、ソレイヤード南仏テキスタイル美術館にも行って見たくなりました。それと同時にジャイプールのブロックプリントの工房や職人さんを思い出しました。
とても素敵な本に出合えました。
インド更紗やフランス、イギリスで発展した染織が見られる展示が
10月22日日曜日まで大倉集古館で”恋し、こがれたインドの染織-世界にはばたいた布たち―“が開催されています。チカン刺繍(チカンカリ刺繍)のかわいいドレスもありました。